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【 人口「自然減」の衝撃  】

2005年12月の読売Onlineの記事です。


出生減 予想以上

 厚生労働省による2005年の人口動態統計の年間推計が、初めて「自然減」となったことに、政財界など多くの関係者は衝撃を受けている。なぜ、少子化のペースは当初予測を上回ったのか。どうすれば、「行き過ぎ」に歯止めをかけられるのか。問題点と課題を探った。(政治部 舟槻格致、大田健吾)

政財界に戸惑い
 「各国の例を見ても、少子化対策はこの政策をとれば確実に少子化に歯止めがかかるというものは、なかなかない」

 22日の閣議で、今年の人口が初めて自然減に転じたとの報告を受けた安倍官房長官は、記者会見で戸惑い気味にこう語った。

 厚労省が同日公表した05年の人口動態統計の年間推計では、1899年の統計開始以来、データがない戦中戦後の3年間を除き、初めて日本人の死亡数が出生数を1万人上回った。

 川崎厚生労働相は記者会見で、「(予測が)大きく外れたかというと、そうではない」と語ったが、中馬行政改革相は「かなりショックだ。予測が早まっているのだから、対策も早める必要がある」と強調した。

 政財界からも複雑な反応が相次いだ。自民党の久間総務会長は「大変だ。政治が有権者である老人ばかり大事にしてきたからだ。もっと医療費などで子供を大事にしなくてはいけない」。民主党の前原代表は「小泉改革が所得格差を生んだ。子育てをする若い世代の収入が減り、少子化に歯止めがかからなくなった」と小泉首相に矛先を向けた。

 財界関係者は「これだけ人口減が早まると、政治が企業に責任を押しつけようとする傾向が強まるだろう」と警戒感を強めた。

男29・6、女27・8歳
 国立社会保障・人口問題研究所は02年、平均初婚年齢、出生率などの推移に基づき、移民なども含めた日本の総人口は07年から減少に転じると予測していた。

 予測より早く自然減となったことについて、厚労省は、今年前半にインフルエンザが流行し、高齢者の死亡が増えたことなどを挙げた。だが、それは一時的な要因で、出生数の落ち込みが想定以上に大きかったことが本質的な原因だ。

 厚労省の調査では、平均初婚年齢は男女とも上昇の一途をたどっている。1975年では、男27・0歳、女24・7歳だったのが、2004年は男29・6歳、女27・8歳。政府内では、「育児の負担が女性に偏っている」「フリーターなど経済的に自立しない若者が多い」などが遠因になっているとの見方が多い。背景には、日本社会の“慣行”や青少年の勤労意欲の欠如などがある。

経済にも深刻な影響
 急激な少子化の進行は、日本の社会に深刻な影響を及ぼす可能性がある。労働力人口が減少すれば、国内総生産(GDP)減少や消費低迷など、経済が縮小する懸念がある。

 働き手の減少は、現役世代が高齢者を支える年金など社会保障制度の維持を難しくする。政府は04年に年金制度改革を決定したが、その際、「モデル世帯の給付水準は現役世代の平均収入の50%を保障する」と説明していた。出生率などが予想以上のペースで低くなれば、「50%」はおぼつかなくなる。また、人口構成がいびつになることで、学校など地域社会の施設整備にも悪影響が出かねない。

 政府・与党は最近になって少子化対策を次々に打ち出しているが、具体的な効果は未知数だ。

 政府が昨年12月に策定した「子ども・子育て応援プラン」では、若者の就労や男性の育児、地域や企業の取り組みなどに数値目標を設けた。が、目標達成に向けたプロセス、優遇措置などはあいまいだ。「思いつきの政策が多く、効果が科学的に試算されていない」との批判も聞かれる。

 与党は、出産育児一時金を06年10月から5万円増の35万円に引き上げ、児童手当の支給対象も「小学校3年生まで」から、06年4月以降、「6年生まで」に拡大することを決めた。しかし、「対象年齢の範囲が狭いうえ、所得制限があるので十分な効果は期待できない」との不満もくすぶる。

 一方、若い世代に結婚や出産を奨励する対策は、市町村などの自主性にゆだねている傾向が強い。国、自治体、企業、ボランティアなど幅広い層で総合的に対策を検討する場が求められそうだ。

自然減 死亡数が出生数を上回ることにより生じる人口減少。海外への移住、外国人の帰化など社会的変動は含まれない。戦後の第1次ベビーブームの1949年には約175万人の自然増を記録したが、79年に100万人を下回って以降、減少傾向が続いている。

かけ声だけではだめ
 渥美由喜(なおき)・富士通総研主任研究員(少子化問題)

 少子化の大きな原因の一つは、経済だ。経済環境が激変した韓国やウクライナでは少子化が進んだが、日本もバブル崩壊に伴う『失われた10年』で、子供を産みにくい環境が生じ、少子化が進んだ。

 国の子育て支援体制が弱いのも問題だ。児童手当が来年度予算で小学校3年生までから6年生までへと拡大されるが、欧米と比べてまだ期間は短く、水準も低い。男性の育児環境を整えた企業への奨励金や税制優遇措置も必要だ。韓国政府は専門機関の「女性家族省」を設置し、保育関連予算を毎年倍増するなど取り組みを徹底している。日本のように“かけ声先行”ではだめだ。

 日本は妊娠中絶が多いのも問題だ。年間32万件もあり、中絶がなければ合計特殊出生率は1.6まで回復する計算だ。婚外子が不利になる規定も撤廃すべきではないか。

下げ止まらぬ日本
 阿藤誠・早大特任教授(人口学)

 歴史的な出来事がついに来たか、という感じだ。2005年は人口減社会が始まった年と後世位置づけられるかもしれない。予想より早まったが、インフルエンザの流行や出生率低下などを見通して人口を予測することは、そもそも難しい。百年単位で考えれば誤差の範囲内だと言える。今後、出生率が上がっても、少なくとも50年間は人口が落ち込む傾向は動かない。いずれ毎年90万人前後の人口減が続く時代が来る。21世紀は「人口減少の世紀」と位置づけられるだろう。その先のことは誰にも予測できない。

 ただ、出生率低下が予想以上に進んでいることには注意を要する。イタリア、スペインなど日本より出生率が低い国も、下げ止まっている。出生率が回復しなければ、1971〜74年生まれの「団塊ジュニア」世代が30歳代後半に差しかかるこの数年に、出生数は急激に落ち込む恐れがある。

(2005年12月23日 読売新聞)

 

 

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